公立大学法人 兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科

私と研究をしてみたいと(ちょっとでも)思ってくれた学生の皆さんへ
message for students who want to study with me (even a little)

ここでは、(ちょっとでも)私と一緒に研究をしてみたいと思ってくれた学生の皆さんに、私が思っていることを書いています。

私が大切だと思っていること

研究をするにあたって、まず私は下記のことがとても大切だと思っています。

1. 権威や常識にとらわれず、人と違うことを恐れずに、自分が抱いた興味や疑問を大切にすること。
2. 情報(論文や本)だけに頼らず、自分の眼と手で確かめ、小さな発見を大事にすること。
3. 「知らない」「分からない」と素直に言えること。

ここで私が言いたいのは、自分で感じたり思いついたり考えたことを、大切にして欲しいということです。そして、私たちはどんなに勉強したとしても、知らないことや分からないことなんて無くなりません。ですから、知らないことや分からないことがあっても、それを過度に気にする必要はないと思っています。研究をする際、子供や素人のように素直に自由に感じたり考えたりしながら、専門的な知識や技術を持ったプロのように取り組むことが大切だと思っています。実は、私たちが持っている色んな知識や経験が先入観となって、知らず知らずのうちに大切な素直なアイデアを否定していることが多くあります。ですから、知らないことや分からないことがあることは、決して悪いことばかりではありません。
しかし、知らないことや分からないことがあったとき、それらをほったらかしにするのは良くありません。やはり、それらのことを調べるべきです。今の時代、インターネットで調べたら、大抵のことはすぐに見つけられます。インターネットを活用することは悪いことではありません。実際、私も、インターネットで頻繁にものを調べます。しかし、調べたいことが見つかっただけで、満足してはいけません。その記事を書いた人は、どうしてそれが正しいと思って書いたのか、その理由や根拠を自分で考えてみてください。自分で考えたことが最初からまとまっていなくても、科学的・論理的でなくても構いません。自分で考えることが大切です。

研究テーマの選び方

私から学生さんに、具体的な研究テーマを指示することは、基本的にありません。「好きなこと」を研究テーマにして欲しいと思っています。しかし、意外と自分が思っている以上に、私たちは自分のことを知りません。ですから、まず最初に私は学生さんと雑談や世間話のような話をたくさんしながら、学生さんは何が好きなのかを一緒に探りながら研究テーマを見つけます。その研究テーマが、これまで私がやってきた研究と同じである必要もありませんし、関係が無くても構いません。その場合は、私も学生さんと一緒に勉強していきます。基本的に、コンピュータサイエンスの範疇であれば、何をしても良いと思っています。コンピュータサイエンスの範疇であれば、私も興味を持ちます。

研究の進め方

基本的に、私は放任主義です。週に一回ミーティングをして話をしたり聞いたりしますが、自分の好きなように研究を進めてもらいます。すぐに成果が出なくても構いませんし、やろうと思っていたことが次のミーティングまでに出来なかったとしても気にしません。しかし、1つだけお願いしたいことがあります。それは、失敗しても良いし、すぐに出来なくても良いので、「自分で試す」ことです。自分で試すと、自分が思った以上に分からないことがあることに気付いたり、自分が思っていたよりも難しいと気付いたり、その逆に簡単なことだったと気付くことが出来ます。さらに、自分で試して分からないことが見つかったら、詳しい人に具体的に質問することが出来ます。
研究に限らず、物事に取り組むときは、分からないことが沢山あります。分からないことを理解するためのやり方に、「見たり」「聞いたり」「試したり」という言葉があります。これは、「物事を見る」、「人に聞く」、「自分で試す」ということだと、私は理解しています。この中で最も大切なのは、「自分で試す」ことだと思います。これは、自転車に乗る練習に似ていると思います。「自転車に乗るには、自転車にまたがり、身体でバランスを取り、ペダルをこいで、ハンドルで方向を取れば良いですよ。」と、こんな感じで説明されると、なんだか乗れそうな気になります。しかし現実には、この説明を聞いただけでは自転車には乗れません。失敗を何度も繰り返しながら、乗れるようになっていきます。私たちは本に書いてあったり人に聞いて教えてもらった時点で、分かったような気になります。失敗しても構いません。自分でやって失敗したら、失敗した箇所や理由が分かります。やらない理由を探すことをやめて、是非、自分の手を動かして試してください。

数学に不安がある人へ

私は、データ解析とは現実世界で起こる様々な現象を対象にした『数学』の応用だと思っています。「数学は過去の積み重ねが大事である」とか「積み重ねが無いと数学は出来ない」と言われます。しかし、数学をやるのに、あれもこれも全て出来る必要はないと思っていますし、そもそも全て出来るなんて無理だと思っています。一言で数学と言っても、数学の中身は膨大です。分からないことや知らないことがあって当然です。どうしても必要な数学が出てきたら、その都度、それを探しに行って、それを理解すれば良いと思います。しかし、その数学に関することすら、厳密に理解することは並大抵のことではありません。厳密に理解することが出来れば良いですが、それが無理でも、必要となる数学のイメージを正しく持つことが大切だと思っています。そして、いくつものイメージをつなげていくことで、新しいアイデアが生まれると思っています。
さらに、適切な質問を相手に問いかけ、その答えの意味を理解する能力は、データ解析にとって、とても大切です。自分が知りたいことに対して、どんなデータが適切なのか、どのような分析方法が適切なのか、得られた結果をどのように判断すべきか、得られた結果と自分の判断の意味を、どうすれば相手に分かりやすく伝えられるかを考えることは、とても重要です。数学が苦手でも、このような能力を磨けば、立派なデータ解析ができると思います。