公立大学法人 兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科

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2021.01.28

高分子材料の高次構造を表現する新規手法を大規模分子シミュレーションにより発見

兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科博士後期課程の清水陽平氏、鷲津仁志教授、株式会社ジェイテクトの黒川貴則氏、新井大和氏の共同研究チームは、京コンピュータを駆使した大規模分子シミュレーションにより、高分子材料の高次構造を応用数学の手法であるパーシステントホモロジーによって特徴付けられることを示しました。

  • 京コンピュータによりニトリルゴムの大規模分子動力学シミュレーションを実施
  • 分子論の基本である動径分布関数では捉えきれない高次構造の特徴をパーシステントホモロジーにより示すことに成功
  • パーシステント図と誘電特性との関連づけに成功
発表内容要旨
本研究では、ソフトマター(やわらかい物質)の典型である高分子溶融体において、従来の解析手法である動径分布関数では表現しきれない構造を、新しい数学的手法であるパーシステントホモロジーによって捉えることに成功しました。京コンピュータを用いたニトリルゴムの大規模分子動力学シミュレーションによって、シミュレーションセルの大きさによる誘電特性の違いを調べ、誘電率を正しく求めるためには 20 nm 以上の大きなセルが必要であることがわかりました。次に、動径分布関数を調べたところ、セルサイズとポリマー鎖長に対して違いがなく、高次構造を表現するには適していないことがわかりました。一方、パーシステントホモロジーはセルサイズやポリマー鎖長に依存し、その空間的な不均一性が誘電特性と関連づけられることがわかりました。すなわち、パーシステントホモロジーによる解析によって、高分子材料においてはじめて高次構造の特徴と基礎的な物性が関連づけられることが示されました。
今後は、ゴムやポリ袋といった身近な高分子から、人工肺ECMOに使われるような高機能コーティング材料などの複雑な高分子材料の解析に応用されていくことが期待されます。
詳細は別添プレスリリースのとおりになります。
プレスリリース日:令和3年1月27日
詳細
別紙のとおり

問い合わせ先
兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科 教授 鷲津仁志
TEL:078-303-1901
E-mail: washizu@sim.u-hyogo.ac.jp