土居 秀幸 准教授

人間活動は多くの生態系サービス(食料,燃料,環境,資源,文化などの生態系からのサービス)を受けて成立しています。現在では,生物多様性の減少,過度の開発,気候変動などの影響によって,その生態系が大きく改変されつつあります。人間社会の持続的な発展のためには,生態系がこのような環境変動によってその機能や構造をどのように変化させるか,またどれくらいその機能を維持できるか,その変化をシミュレーションなどを通じて予測できるかについて明らかにする必要があります。

長期・大規模データ解析による生態系予測
近年,生物学,生態学で得られるデータは膨大なものになってきています。そこで,これら大規模データ解析による生態系予測を立てるべく解析を進めています。特に,相関関係ではなく,因果関係を明らかにする手法などを用いて,これまでの”相関”をベースにした生態学,食物網研究から脱却すべく,因果関係を統計モデルから正しく明らかにし,因果関係を持った食物網,生態系構造モデルを構築します。さらに,生態系の急激な変化を予見する早期警戒シグナルについても,大規模長期データセットを用いて解析を進めています。これらの手法から生態系の変化を予見する手法を開発し,生態系シミュレーションに活かします。

環境DNAを用いた生物多様性モニタリング
湖や河川では,水中に動物のフンやはがれ落ちた皮膚などから溶出したDNA(環境DNA)が存在しています。環境DNA手法とは,これら水の中にあるDNAから,ある生物特有のDNAを定量PCRや超並列シーケンサーを用いて測定し、その生物の在不在や生物量を推定する方法です。これらの環境DNA手法により,水をすくうだけで,その水域の生物多様性が把握できる可能性があり,現在研究に取り組んでいるところです。しかし,超並列シーケンサーは数千から数十億リードと,一度の解析で膨大なデータが出力されます。そこで,スーパーコンピューターによって膨大なデータを高速で処理することによって,環境DNAデータの解析を行っています。

研究分野のキーワード:生態学,食物網,大規模データ解析,生態系シミュレーション,気候変動

連絡先,研究業績など(研究室ホームページ)